米国UNISYS保有のLZW に関する特許に関して、日本においては、今日(6月20日)で期限が切れます。7月7日に残るカナダでの特許が期限切れになると、完全にフリーになる公算が高いと言われているようですが、ユニシスのWebサイトには、
米国 UNISYS 社は、この LZW に関して他に 2 つの特許を出願中であり、近い将来において特許成立が見込まれています。
という記述があったりして、ハッキリしません。UNISYSは、過去にもこの特許に関する方針を変更し、ユーザを混乱させた前科がありますし…。
仮に自由に使えるようになったとして、一度代替されてしまった技術が、どこまで再利用されるようになるのか… 例えば画像フォーマットの分野で、GIFのシェアが大きく伸びたりすることはないと思ってます。PNGの方が (1)色数(280兆色) (2)複数のαチャネル (3)ガンマ補正のパラメータ (4)可逆圧縮 という点で技術的に優れていますし、一般ユーザがPNGを利用するためのプラットフォームは、GIF以上に整備されています。AnimationGIFに関しても、MNGこそ普及しませんでしたが、Macromedia Flashが代替になっています。
フリーライセンスにおける基本的な知的財産戦略とは、
・市場を寡占する知財のライセンス保持者として、企業のブランド力を高める。
もしくは、より実質的に
・多くのユーザからのフィードバックによって、ソフトウェアの改善と品質向上を低コストで実現する。
であると思っています。UNISYSは、このどちらも明らかに失敗していますよね。
ついでに、権利侵害が問題になっていた東風フォントの代替となりそうな「さざなみフォント」がリリースされたそうです。 やはり、こうした「有志による草の根活動」的な貴重な労力が、一般に普及する技術を支えていますよね。 日本の場合、企業の一員としてこういった活動をできることがほとんどない。コンソーシアム活動への参加も、まず企業メリットが前提で、企業のブランド力増強なんて大きな見返りを約束させられる。Rubyのまつもとゆきひろ氏ほどになれば、それが約束できるのだろうが、大抵はそうじゃなく、もっと気軽にTryしてみたい。その辺がお寒い状況だなぁ、と感じます。まぁ、この時節、費用対効果が出ないところにお金つぎ込んでどうする、って理解はしていますけど…。