インターネットの基本構造・使われ方が、また徐々に変わろうとしていますね。その新しいWebの有り様は「Web2.0」と称されるようです。
ご存知のように、「クモの巣」を意味するWebの本質は「繋がること」にあります。Webの構造とは、情報の繋がり方のことです。
2年程前までは、Web関連ビジネスの基本構造は「サーチとSEO(Search Engine Optimization)」でした。大多数のエンドユーザはサーチエンジンをゲートウェイにして情報を得ました。サーチエンジンは情報を繋げるターミナルとなり、Webはサーチエンジンへどんどん集約していきました。それ故に、サーチエンジンの上位にランクされることは、莫大な広告効果を生みました。そのための手法自体がビジネスになる程…。そして、その市場規模は、インターネット、ブロードバンドの普及に伴って飛躍的に大きくなりました。
しかし、度が過ぎるSEO、SEM(Search Engine Marketing)は、「欲しい情報を素早く見つけられる」というサーチエンジンの果たすべき役割を阻害しかねないため、早期から限界が見えていました。個人的には、「サーチとSEO」というビジネス構造は、すでに飽和に近い状態にあると思っています。
次の一歩は、サーチエンジンのような一極集中とは正反対の「P2P」というムーブメントの一端から生まれました。つまり、それぞれのエンドユーザが発する「点(point)」でしかなかったBlogのようなミニコミが、RSS、Trackbackなどによって相互に繋がりはじめ、動的に様々なコミューンを形成しだしたのです。
それまでのネット掲示板のようなコミューンとの違いは、どちらかというと、ネット掲示板がヒトとヒトとのコミュニケーションだったのに対して、Blogは情報そのものが連鎖してできる集合体であるということ。そして、開放性が高く、情報のインデッキシングも容易であるということです。
現在のWeb関連ビジネスの主体は、この段階まで来ている材料をどう料理すべきか試行錯誤している、という状況ではないかと思います。つまり、コミューンのシンジケーションをマネージメントすることで、ユーザのパワーを利用してビジネスを牽引できないか、と考えている人が多いんじゃないかと。
しかし、自体はさらに進行しています。まだビジネスが到達していない部分では、RSSとサーチの融合が始まっています。大手ポータルサイトがBlogを運用し、その情報インデックスをサーチに紐付けようとしていたり(まだうまく連携できているところはないかな…)、RSSコミューンも大規模化するにつれ、サーチエンジン的ビジネス手法を必要としてきていたり(Bloglinesとかね)。形態は様々ですが、別の性質を持ったものが「融合」しようとしているのは確かなようですし、そこには何らかの新たなビジネスチャンスが生まれそうな予感はあります。
さて、このムーヴメントこそが、Web2.0と呼ばれるもののようです。10月にはサンフランシスコで Web 2.0 Conference が予定されていますが、非常に興味深い面々がスピーカーにそろっています。オライリーのTim O’Reillyを始め、Six Apart、Bloglines、BitTorrent、OSAF、AT&Tなど。もちろん、Macromedia、Microsoft、Sun Microの人間もいますね。
WWWの未来について、それぞれの立場で何をしゃべってくれるのか、とても興味がありますね。
The 2005 Web 2.0 Conference: Revving The Web http://www.web2con.com/