今回、Business Gridの研究会ということで、私達が目指したものは「Gridを使った新たなビジネスモデルの立案・検証」だと思っていました。
「『Grid』というキーワードの肝は『異機種分散』にある」というのは共通認識としてあると思います。その上で、「Gridは負荷分散ではない」とIBMのGrid屋さんから聞きました。
その意味はきっと、「クラスタとは違うんだよ」というニュアンスだったのかもしれませんが、これを拡大解釈すると、まったく新しいモデルが考案できるのではないかと考えました。だって、現状世に出ているGridシステムって、プロセスを分散して高速な演算を行おうとする、つまり負荷分散タイプばかりでしょ? いまさらそんなのを追いかけても、面白くも有難くもありませんものね?
つまり、「プロセスのワークロードやデータのストア領域を分散することを主目的としないGridシステムがあっても、よいのではないか」という考え方です。
また、モデルを考える際のアプローチとして、「Grid屋さんではなく、Webサービス屋さんとしてビジネスモデルを考案しよう」と思いました。だって、Gridの王道を行くモデルは、Grid屋さんに任せておけばよいのですものね?
そこでまず1案、「OGSAの諸機能を使って、Webサービスを簡便にintegrateできないか」ということを考えました。OGSAの(1)lifetime、(2)notification, (3)personalizationという要素を盛り込み、サービスのロングトランザクションに似たことを実現し、それ以上のことができるかもしれないようなモデルを挙げました。
この案は、IBMが提唱する、Dynamic e-business、Autonomicというところに合致するのではないかと、個人的には思います。
ま、しかし、この案は、明らかに実装が容易でないので、短期システム構築には無理があるかなとは思います。
そこで2案、「既にETTKに存在するデモを利用したモデルの構築」を目指しました。Repoting Grid Service(ReGS)を使って、POSのような、在庫・受発注管理を実現し、果ては販売動向分析まで拡がるのではないかと考えました。
実装は、素がある分、楽なはずです。こういうシステムは、応用すると適応範囲が広く、汎用的なビジネスモデルとして成り立つのではないかという思いもありました。
ま、「負荷を処理しないとGridじゃない!」とおっしゃるのであれば、これらはGridシステムではないのでしょう。その結果、この研究会が、現状ありきたりなProcessing Gridモデルの勉強会になってしまうのは、とても残念なことに思われます。